業務用特注品は全てが手作り、次から次へ…驚くべき職人技
                                          東京出雲崎会(はのこの会)所属

 
 身の回りにある家電類はすっかりデジタル式が主流になり
アナログ式の方が希少になった今日この頃、
 東京都三鷹市の「中川温度計加工所」は業務用の様々なアナログ式温度計を手作りする。 中川氏ご夫妻は50年の長きに渡って、年間5万本の温度計を作り続けている。
 それらは船舶用ディーゼルエンジン用やティーマパークの空調機器用、さらには病院で使われる新生児の保育器用などの業務用で、全てが受注生産。特殊な形状や、高精度が求められている。
 温度計の製造は細かいガラス管を注文に応じた長さに切断することから始まる。
 その直径6_、内径0.3_のガラス管の片方をガスバーナーで熱して球体に加工し、着色した灯油を注入する。
 目盛りを付けるため、湯につけて100度と50度のポイントを決定する。 次に、ガラス管内にある余分な灯油をより細かい内径のガラス管を差し込んで吸い出す。
 奥さんが担当するその作業は将に職人芸。 最後はご主人が様々な形にガラス管を一瞬のうちに形成してしまう。 長年の経験がもたらす技が冴える。

 一本の温度計が完成するまでに、細分すれば12もの手作業が必要という。以前は同業者が多かったが近年は、中国の製品に押されて廃業していった。 2006年(平成17年)三鷹市から技能労働者の表彰を受けている。 しかしご夫妻の技術を継ぐ者はいない。    「サンデー毎日」7月4日号より抜粋紹介

↑温度計の頭を揃えて一本づつカットしていく ↑入念な検品!出荷前の重要な作業
↑足踏ポンプで管の余分な灯油をを吸い出す微妙な作業 ↑完成した温度計の数々直角な形のものは保育器用